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自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)とは

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  3. 肺胞蛋白症(PAP)の定義と分類/APAPの疫学

監修:杏林大学医学部 呼吸器内科学 教授 石井 晴之 先生
ノーベルファーマ株式会社

肺胞蛋白症(PAP)の定義と分類1)

肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis:PAP)は、肺胞のなかに必要以上に肺サーファクタントが蓄積することで、息切れや咳などの症状が生じる疾患です。PAPは原因によって、自己免疫性PAP(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis:APAP)、続発性PAP(secondary pulmonary alveolar proteinosis:SPAP)、先天性/遺伝性PAP(congenital pulmonary alveolar proteinosis/hereditary pulmonary alveolar proteinosis:CPAP/ HPAP)、未分類PAP(unclassified pulmonary alveolar proteinosis:UPAP)に分類されます(表1)。そのうち、APAPとCPAP/HPAPは、厚生労働省による指定難病に指定されています(指定難病229 肺胞蛋白症〔自己免疫性又は先天性〕)。

表1 肺胞蛋白症の分類
PAPの分類原因
自己免疫性肺胞蛋白症(APAP) 抗GM-CSF自己抗体という抗体が原因となり、肺サーファクタントを分解する肺胞マクロファージの機能が低下して発症する
続発性肺胞蛋白症(SPAP) 血液疾患などに関連して発症する
遺伝性肺胞蛋白症(CPAP/HPAP) 遺伝子の異常により発症する
未分類肺胞蛋白症(UPAP) いずれにも分類できない

日本呼吸器学会肺胞蛋白症診療ガイドライン2022作成委員会編. 肺胞蛋白症診療ガイドライン2022. メディカルレビュー社, 2022より作表

自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の疫学1)

PAPのうちAPAPが約90%を占めるとされており、日本での調査によると、APAPの罹患率は、1.65人/年(100万人あたりの年間新患者数)と報告されています2)。また、約3分の2が男性、APAPが診断された時の平均中央値は51歳でした3)。約3分の1以上が非喫煙者で、26%3)あるいは35%2)の症例に粉塵吸入歴があったと報告されています。


引用文献

  1. 1)日本呼吸器学会肺胞蛋白症診療ガイドライン2022作成委員会編. 肺胞蛋白症診療ガイドライン2022. メディカルレビュー社, 2022
  2. 2)Kitamura N, et al. ERJ Open Res. 2019; 5(1): 00190-2018.
  3. 3)Inoue Y, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2008; 177(7): 752-762.

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