監修:杏林大学医学部 呼吸器内科学 教授 石井 晴之 先生
ノーベルファーマ株式会社
自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)の発症機序
肺サーファクタントは、Ⅱ型肺胞上皮細胞と呼ばれる肺胞の内側に飛び出している細胞から産生され、肺胞の内側を薄く覆うことで、肺胞の表面積をできるだけ小さくしようとする力(表面張力)を低減し、肺胞がつぶれるのを防ぐ役割を担っています。健康な人では、肺サーファクタントは肺胞マクロファージという細胞によって分解され、産生と分解のバランスを取ることで適切な量が維持されています(図1)1)。肺胞マクロファージは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor:GM-CSF)という生理活性物質の働きにより、成熟することで正常に機能します。
人の身体には、細菌やウイルスなどの病原体を無力化する抗体を作り、身体を守る免疫という仕組みがあります。しかし、本来身体を守るはずの免疫が、自分の身体の一部を病原体と錯覚して自己抗体と呼ばれる抗体を作り、自分の身体を攻撃してしまうことがあります(自己免疫反応)。自己免疫反応によってGM-CSFに対する自己抗体(抗GM-CSF自己抗体)が生じると、GM-CSFが働かなくなります。すると、肺胞マクロファージが成熟できず、正常に機能しなくなるため、肺サーファクタントは分解されず肺胞内に必要以上に蓄積してしまいます(図2)2)。こうして発症する肺胞蛋白症を自己免疫性肺胞蛋白症(APAP)と呼んでいます。


引用文献
- 1)Trapnell BC, et al. N Engl J Med. 2003; 349(26): 2527-2539.
- 2)中田光. 日内会誌. 2015; 104(2): 314-322.